熱中症と脱水について
5月に入りかなり暑い日が続くようになりました。これからの季節は熱中症や脱水に気を付ける必要があります。今回はこの2つについてのブログをまとめてみました。
●脱水とは、体から水と塩分を失うこと
私たちの体の半分以上は、水分でできています。この水分は「体液」と呼ばれ、体にとって、大切な役割を担っています。
体液は主に「水」と「塩分」でできています
体液の働き
1.体温調節
2.体に必要な栄養素や酸素を運び込む
3.体に不要な老廃物を運び出す
年齢とともに、体液の割合は減少します
体液が失われると、脱水症に陥ります
現れる症状・・・微熱、口渇感、体重減少、尿や発汗の減少
脱水の度合いは、体液が失われることによる体重減少の割合により3段階に分けられます。
軽度=3~5%(1.5~2.5kg/体重50kg)
中等度=6~9%(3.0~4.5kg/体重50kg)
重度=10%(5.0kg以上/体重50kg)
体の中で体液の多い臓器に異変が生じやすくなります。
脳・・・・・めまい、立ちくらみ、集中力・記憶力の低下、頭痛、意識消失、けいれん
消化器・・・食欲低下、悪心、嘔吐、下痢、便秘
筋肉・・・・筋肉痛、しびれ、まひ、こむら返り
脱水とは、単なる水の不足ではなく、体から塩分も同時に失われた状態のことです。
●高齢者は特に要注意! 高齢者が脱水症になりやすい3つの理由
1.体液をためるタンク(筋肉)が少ない
2.飲んだり食べたりする量が減っている
3.のどの渇きや暑さに気がつきにくくなる
高齢者は、脱水症になりやすいと心得て、日ごろからささいな変化を見逃さないようにしましょう。
●脱水のサインを見逃さないで!
脱水症になると、体に様々な変化が現れます。体調不良に加え、次のようなサインがあったら脱水を疑いましょう。
1、原因不明の発熱
2、急激な体重減少
※7日以内に4%を超える体重減少が起こる
◆40kgの方・・・1.6kg以上の減少
◆50kgの方・・・2.0kg以上の減少
◆60kgの方・・・2.4kg以上の減少
高齢者の尿の色は、脱水症でも濃くならないことがあるので注意
誰でもできる!脱水の発見方法
1握手してみる
→手が冷たい
脱水症になると、血液は生きていく上で重要な臓器に集まります。そのため、手足等には血液がいかず、冷たくなります。
2ベロを見せてもらう
→乾いている
脱水症になると、口の中のつばが減少してきます。ベロの表面も乾いてきます。
3皮膚をつまんでみる
→皮膚がつままれた形から3秒以上戻らない
皮膚には水分がたくさん含まれていて弾力性がありますが、脱水症では水分が減り、弾力性もなくなります。
(2秒以内に戻ればOK!)
4親指の爪の先を押してみる
→赤みが戻るのが遅い
指先は血管が細いので、変化が出やすい部分です。
(2秒以内に戻ればOK!)
5高齢者のわきの下を確認する
→乾いている
通常、高齢者のわきの下は、汗による潤いがあります。脱水症になると、汗が出なくなり、わきの下が乾燥します。
これらのような症状があるときに、体調不良が見られたら医療機関を受診しましょう。
●規則正しい食生活と水分補給を
脱水対策には、水分補給が欠かせません。加えて、きちんと食事をとるなど、規則正しい食生活を心がけましょう。
規則正しい食生活を
1.体に入ってくる水分・・・代謝水、食べ物の水分、飲料水
2.体から出ていく水分・・・尿、便、汗、不感蒸泄
体に入ってくる水分は、飲料水からとる水分だけでなく、食べ物の水分と、食べ物が代謝されることで生まれる水分(代謝水)もあります。きちんと食事をとることが、脱水対策につながります。
水分が多く含まれる野菜や果物などは、夏場の脱水対策に適しています。
1日8回を目安に、こまめな水分補給を
①起床時
②朝食時
③10時ごろ
④昼食時
⑤15時ごろ
⑥夕食時
⑦入浴前後
⑧就寝時
水分補給では、アルコール以外の飲料をとるようにしましょう。
水分補給方法は年代により異なります
乳幼児・・・・自分で判断できないので、保護者や管理者が適切に飲ませましょう。
小中高生・・・自由に水分を摂取するよう、保護者または指導者が指導し、制限しないようにしましょう。
成人・・・・・のどの渇きを感じる前に摂取するようにしましょう。
高齢者・・・・こまめに水分補給をしましょう。介護が必要な方には、介護者が、定期的に水分を摂取させるよう心がけましょう。
水分補給を行うタイミングは、「のどが渇く前」が理想的です。目安として1.5L~2Lを摂取しましょう。
●脱水症になってしまったら経口補水液を摂取
脱水症になってしまったら、水と電解質(特にナトリウム)を速やかに補うことが大切です。最も効果的な方法は、経口補水液を摂取することです。
経口補水液とは?
水と塩分と糖分をバランスよく含み、体への速やかな吸収に優れた成分になっています。
塩分も糖分も多すぎても少なすぎても効果が弱まります。
※水やお茶は塩分を含んでおらず、体液の濃度を薄めてしまうため、脱水時の水分補給にはなりません。私たちの体は体液を一定の濃度に保とうとするため、余分な水はおしっことして出て行ってしまいます。
スポーツドリンクとは何が違うのですか?
経口補水液は、一般的なスポーツドリンクよりも電解質濃度が高く、糖濃度は低い組成となっています。
通常の水分補給であれば、スポーツドリンクでも十分ですが、下痢や嘔吐、発熱、激しい発汗、食事や水分摂取量の低下などによる脱水症には、経口補水液が適しています。
通常の水分補給=スポーツドリンク
軽度から中等度の脱水症=経口補水液
●脱水症は“熱中症”のリスクを高めます
熱中症にひそむ脱水症
熱中症とは、暑い・むし暑い環境で起こる体調不良のことです。体調不良の症状は、“脱水症”と異常高体温によって起こります。
私たちの体は体温が上がりすぎないように「汗による放熱」「皮膚からの放熱」でコントロールしています
脱水症になると
脱水症になると、熱を逃す働きが弱くなります。すると、体温が下げられなくなり、体温上昇で様々な機能障害を引き起こしてしまいます。
汗による放熱
汗が蒸発するときに皮膚から熱を奪い、“打ち水”のような効果で体温を下げています。
皮膚からの放熱
汗をかいていなくても、体で作られた熱は、皮膚表面を流れる血液から外へ逃がします。体温が上がると、皮膚表面を流れる血液を増やして、熱を逃がす働きがアップします。
熱中症にならないための注意点
子ども・・・体温調節機能が未熟で、熱中症になりやすく、また地面近くで生活しているので、大人に比べて暑い環境にさらされています。
成人・・・・屋外作業や、スポーツ時の熱中症が多くみられます。暑い場所や時間を避けて行動しましょう。
高齢者・・・屋内での熱中症が多く、日常生活の中で脱水症に陥りやすくなります。エアコンも積極的に使用しましょう。
子どもや高齢者は特に注意。周りの方も注意を払って見守りましょう。
熱中症予防には、暑い・むし暑い環境を避けることに加えて、脱水症を予防することが重要です。
●熱中症のI度の症状が見られたら経口補水液による水と塩分の補給と涼しい場所での休息を
熱中症のI度の症状
めまい、こむら返り、立ちくらみ、拭いても拭いても汗が出てくる
↓
涼しい場所での休息&水分摂取
水分摂取すると時の注意点
500ml~1000mlを目安に無理のない速さで飲みましょう。その後は、ゆっくりと飲みながら様子を見ましょう。
熱中症は重症化すると命にかかわります。命を守り後遺症を残さないためにも、速やかな対処が大切です
図 日本救急医学会熱中症分類2015 日本救急医学学会熱中症ガイドライン2015より作成
当院でも毎年、この時期から熱中症で点滴治療が必要な患者様が増えてきます。一番重要なのはご自身のお身体を守ることですので上記の注意点に気を付けて大切になさって下さい。
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