訪問診療とはどんなサービス?メリットやデメリットも解説
9月15.16日に大分で行われましたPEG・在宅医療学会に、当院の院長とソーシャルワーカーが出席してきました。
最近、通院が困難になった、退院を急かされているが何をどうしたらいいかわからないと言ったお声を聞きます。
そんな時は在宅での訪問診療という方法があります。
そこで今回は大分での学会出席の内容もふまえてこの訪問診療について解説します。
訪問診療とは
訪問診療とは在宅医療の一つで、医師をはじめとする看護師や社会福祉士、薬剤師などの専門職が直接患者さんの生活の場である自宅へ訪問して診療行為(診察・治療・服薬管理・栄養指導・生活指導など)を行う方法を指します。
当院は体調急変時の緊急訪問や入院手配など、24時間体制でのサポートが可能な在宅療養支援診療所です。
訪問診療を受けるまでの流れ
訪問診療を考えている方は、まずかかりつけの医療機関に相談するか、担当のケアマネジャーまたは地域包括支援センターにお問い合わせください。入院中の場合は、病院内のソーシャルワーカーにご相談いただくことをお勧めします。
当院の患者さんはソーシャルワーカーが常駐していますので、お申し出ください。
日程が決まり次第、訪問診療を行う医療機関のスタッフが事前にご自宅を訪れ、訪問診療の内容や費用についての説明、体調の確認、訪問診療の必要性、服用中の薬の確認などをおこないます。
問題がなければ同意書にご署名いただき、その後は訪問計画に基づき定期的に訪問し、診察や治療を行ってまいります。
訪問診療のメリット・デメリット
訪問診療を始める際に、そのメリットとデメリットを十分に理解していないと、後悔や失敗を招く可能性があります。メリットとデメリットについて詳しく説明しますので、ぜひご参考にしてください。
訪問診療のメリット
訪問診療のメリットは、以下の5つです。
- 住み慣れた環境で療養できる
- 通院による負担を軽減できる
- 契約後は24時間365日対応してもらえる
- 時間による制限が少ない
- 家族と過ごす時間が取りやすい
それぞれのメリットを解説します。
住み慣れた環境で療養できる
訪問診療の大きなメリットとして、利用者本人が慣れ親しんだ環境で治療を受けられる点です。 利用者は、これまでの生活空間で療養を行うことができるため、心穏やかに安心して過ごすことが可能です。
病院や施設での療養では、他の患者と空間を共有したり、周囲に気を配ったり、時間に制約があったりするため、ストレスを感じることが少なくありません。
自宅という慣れた環境で、穏やかに療養を希望する方にとって、在宅医療は非常に適した選択肢と言えるでしょう。
通院による負担を軽減できる
訪問診療による通院負担の軽減は、非常に実感しやすいメリットのひとつです。 この医療形態では、医師や看護師、介護福祉士などの専門スタッフが直接自宅に訪問するため、通院に伴う負担を大幅に軽減することが可能です。
さらに、病院への移動にかかる負担を軽減するだけでなく、診察や会計を待つ時間も省略できるでしょう。
身体的に不自由な方の場合、家族や親族に頼る必要が生じますが、訪問診療を利用することで病院への送迎が不要となり、周囲の人々への負担も軽減されます。
契約後は24時間365日対応してもらえる
訪問診療をおこなう医療機関のなかには在宅療養支援診療所があります。
この施設の要件には「医師および看護師が24時間365日対応可能であること」が含まれています。
在宅療養支援診療所の基準を満たす医院であれば、夜間や休日における急な体調の変化にも適切に対応できるため、安心感があります。
時間による制限が少ない
訪問診療においては、患者が自宅で療養することが可能となるため、時間的な制約が軽減されます。 病院や施設では、食事や入浴の時間が定められていることが多く、日常生活においてさまざまな制限が生じることがあります。
一方で、自宅での療養を行う訪問診療では、医師や看護師の訪問時間は設定されていますが、その他の日常生活に関しては自由度が高いのが特徴です。
また、病院や施設では面会時間が制限されることが一般的ですが、訪問診療ではそのような心配がないことも大きなメリットとして挙げられます。
さらに、病院での待機時間は患者やその家族にとって非常にストレスとなりますが、訪問診療ではそのような待ち時間が存在しないため、より快適な療養環境が提供されます。
家族と過ごす時間を取りやすい
自宅での療養を可能にする訪問診療では、利用者とその家族がいつでも対面することができるため、一緒に過ごす時間を確保しやすくなります。
病院や施設によっては面会時間が制限されているため、定期的に顔を合わせることが難しい方も少なくありません。
その点、訪問診療では利用者が自宅で療養することができるため、家族と時間を気にせずに会うことができます。
訪問診療のデメリット
訪問診療のデメリットは、以下の3つが挙げられます。
- 家族の負担が増える
- 緊急時の対応が遅れてしまう
- 高度な処置や精密な検査が受けられない
それぞれのデメリットについて解説します。
家族の負担が増える
訪問診療においては、看護師や介護士などの専門スタッフが近くにいないため、家族にかかる負担が増加する可能性があります。
24時間体制でスタッフが常駐する病院や施設とは異なり、自宅では家族が日常的なサポートを行う必要があります。このような状況では、家族が「介護疲れ」を感じることがあるのです。
介護疲れの多くは、家族が過度に責任を感じ、身体的および精神的に疲弊してしまうことが要因となっています。
このような問題を避けるためには、悩みや不安がある際にかかりつけ医やケアマネジャー、訪問看護師に相談することが重要です。利用可能なサービスを適切に活用し、家族の負担を減らしましょう。
緊急時の対応が遅れてしまう
訪問診療には、医療スタッフや介護スタッフが常に近くにいるわけではないため、緊急時の対応が遅れる可能性があるというデメリットがあります。
病院や介護施設では、スタッフが常に待機しているため、緊急時には迅速に対応することができます。
一方で、訪問診療の場合、たとえ24時間体制の訪問サービスであっても、連絡後に自宅に到着するまでの時間がかかることは避けられません。
このように、緊急時の対応が遅れるリスクは、訪問診療を導入する際に十分に認識しておく必要があります。
高度な処置や精密な検査が受けられない
自宅療養を基本とする訪問診療では、最新の医療機器が整っていないため、高度な治療や詳細な検査を行うことができません。そのため、高度な治療や詳細な検査が必要な際には、病院に通うか入院する必要があります。
訪問診療で受けられる検査では、以下が挙げられます。
- 血液・尿・便検査
- 血圧測定・体温測定
- 点滴・投薬
- 人工呼吸器管理
- 褥瘡(床ずれ)の処置
- 経管栄養
- 自宅療養上の指導
- 感染症迅速検査(ウイルスや細菌による感染症)
かかりつけ医を探しておく
訪問診療を始めるにあたって、事前にかかりつけ医を探しておくことは大事です。
かかりつけ医を事前に見つけておくことで、体調に異変が生じた際に迅速に相談し、診察を受けることが可能となります。
最適なかかりつけ医を選ぶ際には、居住地に近く、いつでも対応できる病院やクリニックを選択することが望ましいでしょう。
当院は在宅療養支援診療所で24時間365日訪問看護と連携をとりながら対応しています。全国でも珍しい開業医の規模で常駐のソーシャルワーカーが在籍しています。お困りごとのある方はぜひ、お気軽にお問い合わせ下さい。
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