スギ花粉症、通年性アレルギー性鼻炎舌下免疫療法について
~スギ花粉症・通年性アレルギー性鼻炎 にお悩みの患者さんへ~
スギ花粉症は、 スギ花粉が原因 (アレルゲン) となっておこるアレルギー 疾患です。通年性アレルギー性鼻炎は、 ダニ、 真菌(カビ)、 昆虫、ペットの毛などが原因となり、季節に関係なく症状があらわれるアレルギー疾患です。
どちらも、主にくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどのつらいアレルギー症状を伴い、その症状によって日常生活のさまざまな場面で影響を及ぼすことがわかっています。
スギ花粉症と通年性アレルギー性鼻炎の治療法のひとつに、アレルゲン免疫療法があります。
アレルゲン免疫療法は、 アレルギーの原因となっているアレルゲンを少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげたり、日常生活に与える影響を改善するなどの効果が期待され、根本的な体質改善が期待できます。
最近では、舌の下で治療薬を保持する「舌下免疫療法」のお薬が登場し、自宅で服用できるようになりました。
ここではスギ花粉症・通年性アレルギー性鼻炎にお悩みの方に、 舌下免疫療法の概要や期待される効果、副作用についてわかりやすく 解説します。
花粉症とは
花粉症とは、植物の花粉が原因となって、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみなどのアレルギー症状をおこす疾患です。
スギ花粉が原因(アレルゲン)となるものを、スギ花粉症といいます。
アンケート調査の結果、日本人の38.8%の人がスギ花粉症であることがわかりました。
(約5人に2人がスギ花粉症といえます。)
通年性アレルギー性鼻炎とは
通年性アレルギー性鼻炎とは、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー症状が、季節を問わずあらわれる疾患です。
通年性アレルギー性鼻炎の主な原因 (アレルゲン) は、ダニ、真菌(カビ)、 昆虫、ペットの毛などが知られています。鼻の症状だけでなく、目のかゆみや涙目をともなうこともあります。
アンケート調査の結果、日本人の24.5%の人が通年性アレルギー性鼻炎であることがわかりました。
(約4人に1人が 通年性アレルギー性鼻炎といえます。)
通年性アレルギー性鼻炎の主な原因として考えられているダニは、暖かく、湿気のある布団や絨毯、 畳などを好みます。
アレルギー性鼻炎の診断として当院では
アレルギー性鼻炎は、問診と皮膚反応テストや血清抗体検査などの検査結果から総合的に診断します。
- 問診
アレルギー性鼻炎かその他の疾患かを判断するために、症状が出る時期や程度、アレルギー歴などについて聞かれます。
- アレルギー性鼻炎の検査
≪血清抗体検査≫
当院では血液での検査をさせていただいております。
アレルゲンに対する抗体の量を調べます。ダニ、花粉、食品等を含めて39項目の検査が可能です。
アレルギー性鼻炎の治療
アレルギー性鼻炎の治療では、アレルゲンを避けることが基本になり ますが、必要に応じて薬物療法やアレルゲン免疫療法、手術療法などを行います。
スギ花粉の除去・回避
外出時にマスクやメガネを着用する、室内や寝具などを清潔に保つなどの方法で、 アレルゲンを回避します。
ダニアレルゲンの除去・回避
室内や寝具などを清潔に保ち、アレルゲンを回避します。
薬物療法
薬物療法症状をおこす物質 (ヒスタミンなど)の働きや 鼻の中の炎症をおさえて、症状を和らげます。
アレルゲン免疫療法
体をアレルゲンに慣らして、症状を和らげます。根本的な体質改善が期待できます。
手術療法
鼻の粘膜を固くしたり、神経を遮断して、症状を和らげます。
※当院ではアレルギーを軽くする掃除のパンフレットを作成しています。過去のコラムも掲載していますのでご覧ください。
アレルゲン免疫療法とは
アレルゲン免疫療法は、アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から投与 することで、体をアレルゲンに慣らし、症状を和らげたり、根本的な体質改善 が期待できる治療法です。
原因となるアレルゲンを用いて行う治療法のため、原因となるアレルゲンを確定する確定診断が重要です。
〇アレルギー症状を治したり、長期にわたり症状をおさえる可能性のある治療法です。
完全に症状がおさえられない場合でも、症状を和らげ、 アレルギー治療薬 の使用量を減らすことが期待できます。
〇アレルゲンを投与することから局所や全身のアレルギー反応がおこるおそれがあり、まれに重篤な症状が発現するおそれがあります。
〇治療は長期間(3~5年)かかります。
正しく治療が行われると、 スギ花粉症の舌下免疫療法では、治療開始後の初めてのスギ花粉飛散シーズンから、通年性アレルギー性鼻炎の舌下免疫療法では、治療を開始して数ヵ月後から効果が期待されます。年単位で継続することで最大の効果が得られると考えられます。
治療期間は3~5年
アレルゲン免疫療法には、「皮下免疫療法」 や 「舌下免疫療法」が あります。
皮下免疫療法は、 皮下に注射する治療法で、医療機関で行われます。 注射であるため痛みを伴い、 さらに治療の始めは徐々に増量するため 頻回に通院が必要となります。
一方、舌下免疫療法は舌下に治療薬を投与するため、 皮下免疫療法のような痛みがなく、 自宅で服用できます。 しかし、服用量や服用方法、 副作用に対する対応など、医療機関で行う皮下免疫療法と比べてより治療に対する患者さんの理解が必要な治療法です。
わが国における舌下免疫療法では、スギ花粉症とダニアレルゲンによる通年性アレルギー性鼻炎が保険適用となっています。
舌下免疫療法とは
スギ花粉症、またはダニアレルゲンが原因の通年性アレルギー性鼻炎と確定診断された患者さんは、舌下免疫療法による治療を受けることができます。
服用期間の例
●1日1回、少量から服用を始め、その後決められた一定量を数年間にわたり継続して服用します。
●初めての服用は、医療機関で医師の監督のもと行い、2日目からは自宅で服用します。
服用方法の例
治療薬を舌の下に置き、お薬ごとに定められた時間保持したあと、飲み込みます。その後5分間はうがい・飲食を控えます。毎日の服用が必要です。
服用時に避けること
服用前、及び服用後2時間は、激しい運動、アルコール摂取、入浴などは避けるようにしてください。また、服用後2時間以降にこれらを行う場合にも副作用の発現に注意してください。
効果を発現するメカニズム
効果を発現するメカニズムは十分には解明されていません。
舌の下から入ったアレルゲンが体内で反応し、アレルギー反応を抑制する免疫反応がおこることで症状がおさえられると考えられています。
期待できる効果
長期にわたり、正しく治療が行われると、アレルギー症状を治したり、 長期にわたり症状をおさえる効果が期待できます。
症状が完全におさえられない場合でも、 症状を和らげ、 アレルギー治療薬の減量が期待できます。
スギ花粉症とダニアレルゲンによる通年性アレルギー性鼻炎の舌下免疫 療法では、以下の効果が期待できます。
・くしゃみ、鼻水、鼻づまりの改善
・涙目、目のかゆみの改善
・アレルギー治療薬の減量
・QOL(生活の質)の改善
スギ花粉症の舌下免疫療法では、治療開始後の初めてのスギ花粉飛散シーズンから、ダニアレルゲンによる通年性アレルギー性鼻炎の舌下免疫療法では、治療を開始して数ヵ月後から効果が期待されます。年単位で継続することで最大の効果が得られると考えられます。
副作用
舌下免疫療法には、以下の副作用があらわれるおそれがあります。
〇主な副作用
口の中の浮腫、腫れ、かゆみ、 不快感、 異常感など
当院でもすでに舌下免疫療法を取り入れており、約数十名の方が治療を受けておられます。効果としては3年継続の方で7割、5年継続の方で9割の方の症状が軽減されました。
来年の花粉のことを考えると今年の4~5月あたりから始めるのがベストタイミングです。お困りの方はご相談ください。
※現在、出荷制限もあるためご希望にそえない場合もあります。ご了承ください。
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